• ESGエンゲージメントの
    ススメ

 
ESGエンゲージメントのススメ 機関投資家とNGO/NPOがチームを組んで事業会社と対話する

2022年4月15日

提案

ESG投資が注目され、特に投資家と企業との対話が進んでいます。しかし、企業のビジネスにおける環境や人権など様々な問題について、問題を発見し、問題提起をしようとしている市民組織と企業との対話は必ずしも進んでいません。

そこで、市民組織と投資家が問題を共有しながら、ビジネス上の問題を解決するための新たな枠組みが「ESGエンゲージメント・プログラム」です。多くのステークホルダーそして投資家がこの枠組みを活用して、具体的な社会や環境課題をエンゲージメントの俎上に載せて、問題解決をしていくこと実践していくことを期待して、CSRレビューフォーラム(以下、CRF)の取組みを紹介いたします。

三者対話の構図

取組内容

企業の重要なステークホルダーである市民組織(NGO、消費者団体、労働組合など)と株主・投資家との協働による企業の社会・環境課題解決の促進。

背景

  1. 2つの行動規範による「ステークホルダーと企業のエンゲージメントの機運」
    • 2014年に金融庁が「スチュワードシップ・コード」を公表(その後改訂あり)
      投資家が企業とエンゲージメントすることを求めている
    • 2015年に東京証券取引所が「コーポレートガバナンス・コード」を公表(その後改訂あり)
      基本原則2では「ステークホルダーとの適切な協働に努める」ことを求めている
      基本原則5には「株主との間で建設的な対話を行う」ことを求めている
  2. 欧米では、有力なNGOと機関投資家が協力して環境や社会の課題を取り上げ、連携して企業とエンゲージメントを行う例が見られる。

ステークホルダーと機関投資家との対話の事例

  • 対話先の機関投資家:当初は、りそな銀行、その後、りそなアセットマネジメント
    2016年から対話を実施、現在2か月に1回程度開催し、継続中。
  • 参加ステークホルダー:当初CRFメンバーが中心であったが、現在はその範囲を広げつつある。
  • 対話と学習会の主な内容
  1. テーマ:2016年には「パーム油」を取り上げ、その後、「プラスチック」、バイオマス発電などにも広がっている。
  2. りそなアセットマネジメントから対話の活動報告
  3. 対話を始める前に、専門家を招いての勉強会を開始し、課題とその現状の共有

アウトプット例

  1. 「りそなアセットマネジメントStewardship Report 2020 /2021」
    https://www.resona-am.co.jp/investors/pdf/ssc_report2020-2021.pdf
  2. 2020年11月20日、NPO学会で取組を発表
    テーマ:市民と投資家、企業の協働の可能性と課題―CRFのESGエンゲージメント・プロジェクト

「ESGエンゲージメント」に関わった方々から、期待や課題についての「ひと言」

水口 剛 氏(高崎大学)

りそなアセットマネジメントとCSRレビューフォーラムの対話は1つの事例ですが、これを専売特許にしてはいけないと思っています。環境と社会と経済の関係は複雑で、誰かが絶対に正しいということばかりではありません。だからこそ、さまざまな機関投資家がさまざまな市民やさまざまな専門家の声を聞き、多様な視点で企業と対話する、それによって環境や社会の側面もきちん考慮した判断が市場の意思決定の中に織り込まれる、そんな仕組みが根付くことを願っています。

松原 稔 氏(りそなアセットマネジメント)

CSRレビューフォーラムとの対話を通じて、ESG課題はデジタルの世界ではなく、現実に起こっていることを金融が直視し、真の課題は何か、社会は何を期待しているのか?そして企業はどう期待に応えるのか?金融はどう役割を果たすのか?を考える機会をいただきました。より多くの声に耳を傾け、どうアクションに移すのか。その先には、きっと私たちが目指す「将来世代に対しても豊かさ、幸せを提供できる運用会社」に近づくと確信しています。

飯沼 佐代子 氏(地球・人間環境フォーラム)

NGOの企業エンゲージメントも増えていますが、企業が常に胸襟を開いて話してくれるわけではなく、門前払いや表面的対応に終わることもあります。NGOと機関投資家の連携によるエンゲージメントは、NGOのアプローチが難しい企業に対し、投資家の立場で環境・社会問題への対応状況を引き出し、課題解決へのあゆみを進める後押しとして非常に有効だと感じています。一方で連携はまだ限定的で、より広く深く連携が進むことで多様な課題解決につながることを期待しています。

山口 智彦 氏(CRF共同代表)

機関投資家とNGO/NPOがチームを組んで、事業会社と対話してはどうか・・・、と思い立ったのが2017年頃でした。素案を、水口先生をはじめとする仲間に相談したところ、賛同者多く、水口先生がりそな銀行松原様に引き合わせてくださったのが本プロジェクトのはじまりです。

ESG機関投資家とNGO/NPOは、小異を捨てれば、目指す大きな社会像はほぼ同じです。

機関投資家+NGO/NPOが事業会社と対話する、この構造が各機関投資家、各NGO/NPOに広がればよいと思います。

ページのトップへ