• CSRレビューフォーラムは
    こう考えます

 

デューディリジェンスをサプライチェーン・マネジメントに組み入れる

主幹:山口 智彦

提言:サプライヤー調査書に「弊社は貴社に大きな迷惑を掛けていませんか」の一項を入れる

企業がサプライヤーと取引を行なう際にひと時も脳裏から離れないのは、自社を守る、ということである。自己保存はすべての生命体と組織の本能であり、CSRの観点でのサプライチェーン・マネジメントにおいても基本は同様である。
よって、自社を守る、という観点でのサプライチェーン・マネジメントは、外部が関わらなくても、どの企業も必ず行うであろう。  一方、ISO26000は、すべての組織は、社会の持続可能な発展のために自社の影響力を用いて貢献するように、と定めている。また、社会の持続可能性と自社の持続可能性とは同一であると敢えて曲解する傾向があることに釘を刺すべく「社会的責任と持続可能な発展の関係の項(3.3.5)」では、以下の文章を加えている。「(持続可能な発展)は特定の組織の持続可能性又は継続的な存続可能性を問題にしているのではない」(3.3.5)

そのISO26000は、持続可能な発展を達成するための中心的な手法としてデューディリジェンス(自社が社会に与えるマイナスの影響を客観的に把握し、これを軽減する施策を行なうこと)を定めている。
本稿にては、「自社保存の本能に根ざして組み立てられているサプライチェーン・マネジメントにデューディリジェンスを組み込んで行こうではないか」と提唱したいと考える。

多くの企業がこれまで整備してきたCSRサプライチェーン・マネジメントの思想を一言で言えば【1】「貴社は悪い事をしていませんか」ということであろう。この考え方を軸にして、多くの調達方針やサプライヤー調査書はできている。
一方、デューディリジェンスをサプライチェーン・マネジメントに反映させるとして、これを一言で言うとすれば【2】「弊社は貴社に大きな迷惑を掛けていませんか」ということになるであろう。

この【2】の領域に踏み込むことが、買い手売り手の関係をCSR面でよい方向に導くことは誰にも了解されるのではないか。一方、【2】を調達に組み入れることは、品質、価格、納期という調達の基盤を不安定にするかもしれないことも誰にも了解されることであろう。

デューディリジェンスをサプライチェーン・マネジメントに組み入れるかどうかを考える時期が来ている。各社におかれて、「弊社は貴社に大きな迷惑を掛けていませんか」をサプライヤーに問うかどうか、社内にて、また社外との議論を始められるよう提唱したい。

ページのトップへ